延命寺 寺とパソコン
＜VOL.39＞
儲けさせた会社が儲かる
新聞の本の広告を見て覚えのある名前にもしやと思ったら、やはり高校の同級生だった
(書店員に「彼もオジサンになったなあ」と言うと「お互い様ですよ」と言われてしまった)。 今回、がらでもなくビジネスの本を取り上げたのは経済から見た寺院の在り方について
研究者の意見を聞きたいからだが、その前に私なりにeエコノミーを分析すると、そこには「儲けさせた会社が儲かる」という原則が見える(経済評論家になろうか)。この原則はゲーム機とゲームソフト会社の関係に顕著だが、パソコンでもマイクロソフトが儲けたときはそのおかげで儲けたところが多かった。ウィンドウズが使いにくいからこそパソコン学校が儲かるのであり、マックのように「マニュアルなど読まなくても使えるようになっ
た」などというタレントが多いのでは誰も学びに来ない。マックを教える講座は初心者向けの次は一気にDTP専門家対象に飛んでしまう。ウィンドウズの操作法がころころ変わるのもメーカーにとって新しい製品を売るためには都合が良かった(もちろん皮肉です)。
さてマイクロソフトもアップルも伸びに陰りがちらちら見えだしたのは「自分だけ儲ける」ことを目指し始めたからである。マイクロソフトはソリューション(「会社の業務のシステム構築の仕方」とでも言いましょうか)は提供しない、という分析を誰かがしていたが、ゲーム機やCATVネットなど味方を敵に回すことも目指し始めたし、日本でだけ売れているウィンドウズCE機を見捨てるようなこともする。アップルも同じくあまり売れないものはばっさりと切り捨てる。直販も始める(整備品が出るたびについ３台も買ってしまったが、保証を考えると専門店で定価で買ったほうが良かった)。
閑話休題(「それはさておき」と読みます)。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
宿南達志郎『eエコノミー入門』(PHP新書)類書はたくさんあるしこれからも出るだろうが、本書を紹介するのは単に同級生の著作だからというわけではなく「マイクロソフトはなぜ成功したか」という項目で「ウィンドウズ95は・・画期的な新商品だったが、その後のウィンドウズ98やオフィス2000などは、
マイナーチェンジの割には価格が高い」などときちんと言うべきことを言っているからである。「一人勝ち」の状態が、将来も維持できるわけではない、ということも書いてある。単なる後追いの本でも手放しの礼賛本でもない。
残念ながらあとがきにもあるように修正が必要になってくる部分もたくさん出てくるだろう(はっきり言うと、もう改訂版の準備を始めなければならない)から早く買って下さい
。
またiMacのような利幅が非常に少ない製品が売れたのは「基本的に在庫が出たことがない」(某パソコン店員)からである。金曜日に入荷して月曜日には発送が済んでしまうのならアルバイトで十分こなせる。立場上宿南君の本には書いてないが、i-モードがヒットしたのもコンテンツ(「番組」とでも訳しましょうか)を提供しているところも儲かっているからであるという分析もあった。
目利きは「今さらマイクロソフトでもない」と多分思っている。「今さらアップルでもない」とは言わないが、「MacOSXでは一万七千もの文字を扱える」などと一周遅れのトップランナーでいてもらっては困る。
「自分だけ儲けることは出来ない」のは寺院も同じ。かといって他の収入で寺院経済を支えるというのは早晩無理になる。そして「檀家から消費者へ」という変化も押し止めるのは難しい。檀家制度は批判もあるが、いわば農協や生協などのように会員が支えるという在り方だった。現在は葬儀・法事が「一回ナンボ」という、スーパーで物を買うのと同じパターンになってきている。会費がない分単価を高くしないと経済的にはやっていけないが、なかなか理解は得られない。あるいは薄利多売の体力勝負になって「教えを説く暇などなくなる」かだ(お盆には痛感しますね)。
誰か「儲けさせたところが儲かる」パターンを寺院でも考え出して欲しい。
すくいは檀家ではない檀家。住職の活動に協賛する人々が集まって経済的に成り立っている例が見られることか。
私がパソコン本を読んでいるのも寺のこれからの在り方について考えるためなのです、 というのはかなりゴーインなまとめですが。
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・「新年の希望」
・メールの賀状
・頑張らないパソコン入門
・老後はパソコン
・「買い」か「待ち」か超漢字3
・家電としてのパソコン
・アップル １周遅れのトップランナー
・プライバシーは数千円
・パソコンの明治時代
・IT講習で(多分)教えてくれないこと
・がっかりLモード
・貧しいIT
・B(ukkyo)TRONを使おう
・コンピューターで仏教学
・鉄の鎖か金の鎖か
・喜捨か会費か
・非公正に怒れ
・ネット利用の仏教学研究
・遅い・高い・マズイ ISDN
・「ワープロは?」「富士通です。」
・メモ・メモ・メモ・メモ でも忘れ
・「簡単」が勝ち(除くパソコン)
・独占は衰退を招く そして
・ITは効率を落とす
