Enmeiji延命寺

延命寺 寺とパソコン

 

title 寺とパソコン

<VOL.57>

 

プライバシーは数千円


ある雑誌では投稿した読者に対して見ず知らずの人から電話がかかってきたりしたことから、投稿者の居住地の掲載をやめた。以前NHKのニュースでもインターネット接続業者から個人情報を入手する話を取り上げていたが、個人情報の入手にはそんな難しいことをする必要はない。ある会社のソフトでホームページを作成すればそのソフトの登録時の氏名や所属が分かるようになっていることはすでに書いた。電子メールにもどんなソフトを使っていて、どの接続業者を使ってどこから接続したかという情報も付いている。

ではホームページも電子メールも使わなければいいかというとそんなに甘くはない。数千円のパソコン用宛名ソフトを購入すれば、全国4000万の氏名・法人名から電話番号と住所が検索できる。ホームページの内容から興味のある分野を判断して、宛名ソフトで住所を調べてDMを送れば「効率的な」送付が出来る。私は住所氏名などを知られても別に困ることはないという人でも、氏名や住所などの個人データが簡単に分かるソフトがあるということぐらい知っていてもいいだろう。

いたずら電話の対策として電話番号非通知の電話は受信しないように設定している人もあるようだが、たとえ相手の番号がわかる場合だけ電話に出たとしても、売り込みの電話だったりすれば、無駄な付加料金を払ったというだけの結果になる。  本当は電話番号は非通知を基本とするのがプライバシー保護の観点からは正しい。「本来通知するべきだ」というのなら付加料金などは取るべきではなかった。 また宛名ソフトに個人の情報を提供することは禁止する、などのきまりが必要だったが、危機感を持った人は少なかった。

危機感が少ないといえば、宗教法人の提出書類の記載事項がある。いまのところ提出書類は情報公開の対象にはならないらしいが、非公開にするという条項があるわけではない。もともと宗教や病気などに関する個人情報は収集するべきではない。法人として活動していることを証明するためには役員その他の書類は必要であるが、個人の信仰は大事なプライバシーであることは忘れてはいけない。「公開されるとは思わなかった」と言っても あとのまつりにならないように個人情報に関することは最小限の記載にとどめるべきだと思う。

過去帳・現在帳はパソコンで簡単に(でもないか)管理できるが、パソコンを何に使うか使わないかということはきちんと考えておくべきことである。

「不正な操作」に腹を立ててパソコンを使わなければいい、などというのんきな時代はとっくの昔のことになっている。もちろん「使えばいい」などというのんきな時代でもない。

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