延命寺 寺とパソコン
<VOL.52>
頑張らないパソコン入門
阪神大震災の後、被災者を苦しめたのは「頑張ってください」という励ましの(はずの)言葉だったという。将来どころか明日もみえない中で毎日気を張って生活しているのに、「もっと頑張れ」「これ以上に頑張れ」と聞こえてしまったというのである。
最近はIT弱者という用語や「ついていけないものをリストラするためのパソコン講習」などがはやっているがパソコンにそんなに大きな顔をさせていいのだろうか。
地方でも「これからはパソコンの時代だ」という誤解があふれていて、パソコンが使えないものは人間失格であるかのような風潮がある。
私も「お寺にはパソコンが必須だ」などと書いてきて責任の一端はあるが、寺務を効率化するためのパソコンの習得に寺務や個人のゆとりの時間が削られるのではなんのためのパソコン導入か分からない。
あるオンラインソフトの作者は「ソフト作成の目的は人間が楽をするためだ」と書いていたが、「楽をするためのパソコン」が「苦労を増やすためのパソコン」になってしまってはいけない。
そのことを理解してもらうために昨年は檀信徒向けに無料パソコン講習を計画したが開設のお知らせに「一番の目的はパソコンは(使えるにこしたことはないが)使えなくてもかまわないということを実感してもらうためです」と書いたためか、受講者は現れなかった。受講者を集めるには「仕事に役立つ」とか「家庭に便利な」とかウソを入れなくてはならないようだ。
次回の講習は「まずワープロから始めよう」ということで再開するつもりだが、こちらの本音は「使わずに批判するのではなく、使ってみて必要か不必要かを判断しよう」というところにある。使わずにうらやましがったり、買ってしまってから、必要なかったと実感するのではもったいない。
そして買ってしまった人のために少しでも役に立つような連載というのが「寺とパソコン」の目的である。
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・「新年の希望」
・メールの賀状
・頑張らないパソコン入門
・老後はパソコン
・「買い」か「待ち」か超漢字3
・家電としてのパソコン
・アップル 1周遅れのトップランナー
・プライバシーは数千円
・パソコンの明治時代
・IT講習で(多分)教えてくれないこと
・がっかりLモード
・貧しいIT
・B(ukkyo)TRONを使おう
・コンピューターで仏教学
・鉄の鎖か金の鎖か
・喜捨か会費か
・非公正に怒れ
・ネット利用の仏教学研究
・遅い・高い・マズイ ISDN
・「ワープロは?」「富士通です。」
・メモ・メモ・メモ・メモ でも忘れ
・「簡単」が勝ち(除くパソコン)
・独占は衰退を招く そして
・ITは効率を落とす