本太風土記

<二十一世紀の展望/葬儀屋は儲かるか?>
Vol.1

年内にご覧いただいてる皆様には少し早いのですが・・・。
明けましておめでとうございます。インターネットのページも無事に開けましたか?おめでとうございます。
お正月に、二十一世紀の計を立てることはできませんが、二、三十年先のことなら、およそ、見当がつきますので、予測してみましょう。
今、団塊の世代と呼ばれるベビー・ブーマーが、五十歳として、平均寿命が八十歳とします。すると今度は、死者の数が三十年後には最大となり、およそ、今の倍になると予想されています。
一方、出生率が下がって子供の数がそのうち、今の半分になってしまいますね。すると何が起きるか。
これは、今新聞紙上をにぎわしている、保険や、年金の話と同じです。老齢人口が増えて、若年人口が減るということは、若い世代に負担がかかるということです。
すなわち、二十年後くらいから、葬儀費用の負担が三、四倍になります。父方も母方も子供のない叔父も、独身の叔母もといったように、あちこちの家の葬儀の喪主となる方が増えてきます。なかなか、それだけの負担に耐えられる家は少ないと思います。
葬儀関係も価格破壊ではありませんが、単価が下がって、その代わりに倍働いて何とかという状況がやってくると思います。新聞雑誌では、葬儀屋が成長産業であるかのように書かれ、商社やデパート、ホテルも参入かなどと騒がれていますが、疑問に思います。ここでも勝ち組、負け組がはっきりしてきます。
お寺も、大変です。今まで、首都圏のお寺は人口流入のため、努力をしないでも檀家が増え、収入も増えてきました。ところが、若年人口が減るということは、つまるところ、絶える家が増えて、檀家も減るということです。
当斎場の動向を見ても、だんだん、費用をかけない葬儀が増え、お坊さんを呼ばない友人葬の方も、少数ながらあります。墓地、墓石を買わない家も、少なくありません。
江戸時代に、お坊さんを呼んでお経を唱えてもらって戒名を付けて、お墓を立ててという方は、農民の中でも本家筋の恵まれた人たちだったと思います。だんだん、昔みたいになってきます。
実際、墓地の用地には限りがあるので、やがて、合葬墓のようなものが増えます。自分の代で途絶えてしまうなら、墓地や納骨堂を求めてもお守りする人がいなくなってしまいます。
バブルの時代に、茨城県辺りに墓地を求めて、墓石を立てた方が、最近ではやはり、そこを離れて首都近郊に戻ってくると聞きました。すなわち、檀家が減る傾向がすでに出てきてます。
また、若い人になればなるほど、いわゆる「ヴァーチャル世代」で、人間関係が希薄になります。ヴァーチャル墓参りという、インターネットのホーム・ページもあるそうです。パソコン上の墓参りです。我々にはピンとこないですが、テレビ・ケームの世代には実在のように感じるかもしれません。
また、両親の供養はするけれど、お寺とおつきあいするのは煩わしいという方も増え、霊園墓地で臨時にお坊さんを頼むという形も増えてきています。
十何年も前に、NHKが「寺が消える」という番組で、過疎地での寺院経営の難しさを報道しましたが、この傾向が次第次第に首都圏にも及びます。  
今から斎場を経営するなど、積極的な努力をしないと、二十一世紀の寺院を維持するのは大変です。昔のように、住職の住んでいない寺が多くなります。若い人が減ってくれば、当然、お坊さんの数も減ってくるわけですから。
浦和近辺のお寺さんを見回すと、老僧の世代には男の兄弟が何人もいて、皆、坊さんになってということが珍しくありませんでしたが、今は男の子は一人という寺が増えています。一人でも、後継者がいれば恵まれている方です。
二、三十年後には今の倍の忙しさになると予想できますから、本当に大変です。我が地区は老人の多い町として知られ、早くも、その傾向が出ています。
檀信徒の中の篤信者には、是非、お子さんを大正大学にやってお坊さんにしてほしいくらいです。地方では、そういう形でも採らないと、お坊さんが居つかなくなると思います。
環境汚染が進み、資源が枯渇してゆく二十一世紀にどんな明るい未来があるのか、分かりません。私は、インドで耐乏生活を経験したので、冷暖房なしとか粗食とかも大丈夫です。あ、でも、最近さすがにバイクでお通夜に出かけるのはつらくなりました。
しかし、ものの有り余る経済生活で青少年期を過ごした次世代は、大丈夫でしょうか。その為には、今から私たちが子供たち、孫たちに資源を残してあげるように生活しないといけません。
子供の頃、氷で冷やす冷蔵庫とか、練炭火鉢でサンマを焼いた記憶があります。今のインドも都市部か農村かで外国のように違いますが、ざっとインドの人たちは日本人やアメリカ人の百分の一程度しかエネルギーを使いません。急にそこまでは戻れないのですが、膨張すればするだけ破滅が近くなります。
仏教では諸行無常を唱えます。何事もそのままで存在し続けることはなく、生々流転します。ものには実体がなく、万物は空です。良いことにも悪いことにも執着せず、仏道修行に邁進して、生死をも超えた静けさの中に楽を得よと教えています。
みんなが仙人になれば、地球環境に優しそうですが、そうすると日本の経済はどうなるのでしょう。昔は、口減らしで農家の次男、三男以下をお寺にやったりしましたが、またそうなるのでしょうか。
私が子供の頃は、プロ野球の新人のインタビューで、失敗したら実家に帰って農業をやるとか、家業の酒屋を継ぐとかいう話を聞いたことがありますが、農家も小売店もますます難しくなっています。
日本の国土は江戸時代頃まで三千万人程度で安定したので、一億を超える人口は自ら支えられる人口をとっくに超えています。
人口減は、必然の成り行きなんですが、我々の次の世代は本当に大変ですね。
ああ、新年からこんな話でごめんなさい。

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掲載日 : 1999.12.25
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