Enmeiji延命寺

延命寺 寺とパソコン

 

title 寺とパソコン

<VOL.1>

 

「パソコン導入をめぐって」


延命寺住職 河野亮仙

パソコン導入も何も、もう入っているよ、というお寺も多いと思います。第一、インターネットでこのページをご覧になっている方の99パーセントはお持ちですよね。
この手の話は北辰堂『寺院の現在』一万二千円也に、何編か収められています。戒名の付け方、写仏の会、ペット霊園経営から賽銭泥棒の話まで掲載されています。  
その中で、奇しくも「寺とパソコン」という論文を寄せている佐久間和尚に、新連載?をお願いしましたので、ご紹介申し上げます。師はわたしの大学時代、研究室の一年上にいらした「小さな大先輩」です。卒業後は、学会でばったりお目にかかるくらいでしたが、縁あって再び結ばれました。結婚式のスピーチみたいだな。藤田君笑わないで!  
だいたい学者というのは、わたしもそうですが、一言居士、いや、へそ曲がりじゃないと面白い研究はできません。先輩もへそ曲がりです。何がへそ曲がりかというと、「マック遣い」だからです。もっと、凄いことに「トロン遣い」でもあります。藤田君笑わない。OS/2も使ってるんだって。マックかウインドウズか?  
わたしは、NEC98から、世界が変わるかと思ってマックに転びましたが、何も変わらず、今はVAIOに再転向しました。日本語入力は一太郎という古いタイプの人間です。やっぱり、ヴィジュアル系使いこなせません!だいたい、顔がヴィジュアル系じゃありませんから。  
先輩はiMACを推薦しています。確かに、パソコン入門には最適かもしれません。しかし、周りの人と歩調を合わせないと、ちょっと不便ではないかなと思います。当青年会のマック派も、次はウインドウズと考えているようです。  
いわゆる寺院用ソフトにはマック仕様は少ないです。また、クラリスワークスでも、その辺のオフィス・ソフトでも、寺院の用務に百パーセントではないですが、ほとんど間に合ってしまいます。わたしも、実は、二、三寺院用ソフトを渡り歩いた後、再び、汎用ソフトに回帰してしまいました。この道十年以上ですが、さっぱり進歩しません。  
そもそも、寺務にはパソコンいらないよという方も多いでしょうが、檀信徒数二百件以上でしたら、導入する価値はあると思います。また、パソコン導入とは住職一人の職人芸的管理ではなくて、寺院情報の共有化という意味を持ちます。でも、戒名入力は、よほどマニアックな人でない限りやめた方がいいと思います。戒名には「幽霊文字」が多くて、パソコンでは対応しきれないです。
<サポートが肝要 >
寺院ソフトは導入しやすいですが、使い回しが利きません。テキスト文書の出力があるかどうかを確かめてからお求め下さい。汎用ソフトは、最初の設定にこつが必要ですが、後は自由に設定を変えたりして応用が利きます。  
また、三年ごとにOSが変わる時代、小規模ソフト会社の対応は遅いです。遅いだけなら、支障ないのですが、この業界は浮き沈みが激しくて、サポートが切れてしまう、会社がつぶれてしまう可能性があります。  
そうです。パソコン導入とはサポートの問題なのです。導入時のメーカー・サポート、ソフトのサポートが重要です。近所のお寺さん、仲のよい友達のサポートを期待するのは当然で、機械やソフトを合わせるのは悪い選択ではありません。その上で、専門的なことは直接会社に聞かないと分かりません。電話でもサポートできますが、できるだけ、直接、訪ねることのできる会社をお薦めします。  
また、会計については、お寺さんは文学部、仏教学部卒業がほとんどで、専門知識のある人は少ないと思います。わたしは、寺院用の会計ソフトが使いこなせず、結局、寺で依頼している会計事務所にサポートをお願いして、「記帳君」というのを使ってます。電卓で計算して試算表を作っていた頃の何分の一かの労力ですみ、助かっています。 
というわたしの前口上は、皆様方には「釈迦に説法」だったかもしれませんが、新連載お楽しみ下さい。では、先輩よろしく。

佐久間和尚  
実は河野氏には「パソコン底なし沼にはまってしまったある和尚の過去・現在・(未来?)進行形のトホホドキュメントと少しは役立つ(かもしれない)くやし紛れの知ったかぶりのいろいろ」あたりの原稿を送っていたのですが、「お寺の実務に役立つ記事をお願いします」と釘を差されてしまいました。実は実務に関しては河野氏の前口上でほとんど尽きているのですね。しかしせっかくですから悔し紛れの補足をしておきます。  
マックもウインドウズも(そしてビートロンも) パソコンは「みんなで転ければ粗大ゴミ」です。最近は「パソコンではワープロとインターネット(電子メール)が出来れば十分」という声が挙がってきていますが、私は健全な傾向だと思っています。そしてマックかウィンドウズかの結論はすでに出ています。「マックもウィンドウズも」です。印刷するならマックのように画面で見たとおりに印刷が出来る方がはるかに便利。ウィンドウズ対応ソフトは文章を書くことに優れたものが多い。特に縦書き何字何行という指定の原稿をマックで出来るソフトは片手で数えられる。  
据え置き型ならiMacでほとんど十分。ノートパソコンはDOS/V機の方がいろいろ選べる。パワーブックはそれしかないから買わざるをえないという選択しかできない。ただし最近流行の液晶デスクトップを買うぐらいならノートパソコンを買った方が「寺院内モバイル」が出来て良いです。  
般若心経を外字を作らずに書きたい、せめて歴代住職さんの名前を書き上げたいという場合はトロン(ビートロン、製品名はB-right/v)が現実的な選択になります。ある点マックやウィンドウズよりも操作が簡単。ぜんぜん凄いことではない。詳しくは後日ですね。  
<サポートは当てにならない>  
パソコンサポートというものは当てにはなりません。有名メーカーのパソコンは使いにくいウィンドウズを使いやすくするつもりで自社製ソフトを組み込んでいますが、これが使いにくい。どうすれば削除できますか、と聞くわけにも行かず・・・ウィンドウズに関する質問にも見当違いの答えが返ってくる・・・パソコン誌も広告主に遠慮して不具合の対処法を載せていない・・・ウィンドウズ派のみなさん、もう西暦二千年問題の修正ソフトは組み込みましたか。「またマック自慢か」と嫌われながら勝手にサポートに押し掛けてくるマック派の友達とマックも持った方がいいですよ。機械の故障は保証期間が過ぎたすぐあと、パソコンの疑問は無料サポートがすぎてからと決まっています。  
長い前口上に長い補足でいやになりそうなあなた。「実務よりもトホホが読みたい」「詳しい論拠は」「会長と佐久間の掛け合いの方がいい」「いや、やっぱり実務だ」等の意見はinfo@syomyo.or.jpまで。私は「ドラッグ(アンドドロップ)の心地よさ」という原稿を書きたいな。

会長コメント  
佐久間和尚の喝破する通り、サポートはなかなか当てになりません。さらに、パソコンとは壊れるものです。欠陥商品といったら怒られるかもしれませんが、もともと、技術者が不具合を直しながら使うのが当たり前でした。今でも、バグ修正をユーザーに押しつけています。  
寺院ソフトを乗り換えたのは、三年ほど経つと、ハードディスクの調子が不安定になるからです。データをフロッピーに保存しても、ソフトそのものが壊れて、ソフト会社がつぶれてしまったら、読めません。そのために、テキスト文書の書き出しで保存するソフトの使用をお薦めします。  
フロッピー・ディスク・ドライブもやはり、機械的な寿命が五年くらいだと思います。規格がどんどん変わっているので、これで満足?ということで、十年パソコンを使い続けることは出来ません。  
昨年だと思いますが、古いカメラ・ファンはご存じのミノルタCLEを売りました。わたしのカメラは海外で使うので、すぐボロになります。でも、レンズとともに、十万円以上になって、コンタックスG2の軍資金になりましたので凄くうれしかったです。  
パソコンは三年経つと中型ゴミです。iMACなら、子供のおもちゃとして第二の人生を歩めるかもしれませんが、悲しいです。  
わたしは機械は好きですが、パソコンは嫌いです。パソコンなら、マックの二十周年記念モデルのスパルタカスとか、東芝の新しく出たDVD液晶デスクトップのように、機械的な精度の高いものが好きです。iMACもVAIOも東南アジア製で、精密感、しっかり感がないのがちょっと残念。

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VOL.1
お寺にパソコンはいるか
マックから始めよう
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パソコンの不幸な逆説
ノートパソコン不用の時代へ
『般若心経』と「SMAP」と
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補助漢字を使うには
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万能ソフトはない
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