本太風土記

<構造医学〜その2〜>
Vol.9

病いのままいるが候

 良寛の「病いに逢えば病いのままいるが候。苦しい時には苦しみの真っ只中にいるが候」という歌は、ikkyuにも上げました。五首アップしましたので、iーmodeでも、ご覧下さい。
 長男が腎臓病で三ヶ月入院していました。その時はステロイドの点滴投与で良くなったと思ったら、また、悪くなるなど、調子が上がったり下がったりの繰り返しで、ずいぶんとやきもきしたものです。炎症がなかなか治まりませんでした。
 ところが、新学期に間に合うように退院してからは、驚くほど順調に回復していて、もう体育の時間も大丈夫になりました。休む時には休むということが大切なんですね。
 そしてまた、病気や事故というは神仏からのメッセージですから、きちんと受け止めないといけません。生活を見直しなさいという優しいアドヴァイスなんです。
 ジャンボ鶴田が肝臓移植手術中の事故で亡くなりました。フィリピンの国立「腎臓」移植研究所でと聞くとちょっとどきっとします。鶴田も肝炎にかかった時点で、もっと辛抱して病人をやっていれば良かったのです。小渕さんも病人なのにハードスケジュールの上、暴飲暴食をしていたらしいですね。
 鶴田もプロレスラーこそ止めましたが、おそらく、オレは体力があると無理をし続けたのだと思います。研究者として第二の人生を歩みだしたのに残念なことです。安らかにお休みなさい。
 さて、最近、陰陽道が流行っていて?「AERA」にも記事がありました。小松和彦教授にインタビューしています。近々、陰陽道の新刊が出ますよね。そこで紹介されている吉野裕子先生も、五行思想と源氏物語についての新刊が出ます。ああ、また、本が増える。岡野玲子もワンセット買わないと。
 小松先生によると、病気になっていざなぎ流の陰陽師に訪ねてくると、日常生活の細々としたこと、隣近所や親戚との関係を聞いたりして、本人も自覚していない呪詛の原因を探ってお祓いをするそうです。
 なんか、バリ島の呪医バリアンに似ているなと思いました。でも、近代医学以前の治療って、大体、そうですよね。それも大切なことです。ホリスティック医学ではそうした周囲の環境についても考慮するようになりました。

構造医学の発見

 吉田勧持博士の『構造医学/自然治癒のカギは重力にある!』(エンタプライズ)の序章に構造医学の概念が生まれたきっかけについて、描かれています。
 あるドキュメント映画で、サケが流れに逆らって上流へとヒレを動かし続ける姿を見たそうです。
 一方、産卵が終わり力つきたサケは流れに抵抗しません。プカプカ浮いて流れされていきます。
 その瞬間、吉田博士ははっとして、清流に抵抗して川を上ろうとする不断の動きこそが「生」そのもの、流れにまったく抵抗できないのが「死」、または無生物状態を意味していると喝破しました。
 植物もまた、芽を出し、天に向かって、重力に逆らって成長していきます。
 また、人間の身体というのも静止している場合には不安定で、立つ形にしても、不断の動きの活動があってこそ安定した状態を維持できるのです。死人は立てないです。
 この点が、重力のもと、静的状態で安定する石などの無生物と、動的状態で安定構造を図る生物との間に一線を画すという。
 このように生物が重力に反応する場を設けて、生理的か非生理的かを判定して疾病の診断や臨床に役立てようというのが構造医学です。八十年代から活動して徐々に浸透し、脳低体温療法などの最先端の医療にも応用されています。
 また、人の歩行モデルを研究して、ロボットに人間のような歩き方をさせることに成功しました。それを二足ジャイロ機構と恥骨のクランク運動というモデルによって説明しています。

仙腸関節

 仙腸関節は解剖学では動かないと教えられていますが、生きている人間の場合は動きます。民間療法などでよくいう骨盤調整法というのは経験から学んで治療しています。日本構造医学研究所ではきちんと解明しています。
 また、仙腸関節というのは一種の重力測定器になっています。上からの重力負荷と下からの挟み込みによる抗力によって、テーパー・ジョイントとしての機能を発揮してます。何か難しいですよね。
 その機構からいって自転車にのるのは、実は健康に良くないそうです。自転車に長時間乗ると誰しも腰に違和感を感じると思います。身体は知っています。特に産前産後で骨盤のゆるんでる女性は乗ってはいけません。乗ったら、必ず後で歩いてほぐさないといけないそうです。
 私は文化系なのであまり理論面に立ち入れず申し訳ないですが、詳しくは、吉田先生の本をご覧下さい。構造医学のホームページもあります。

女神の踊りを具現

 武術や整体でも仙骨のことをいう人は多いです。『秘伝』6月号には合気道の達人、故塩田剛三の強さの秘密は仙骨・恥骨・骨盤周辺の結合にあったと三枝誠生師(エナジーパゴダ)は語っています。骨盤を左右から圧縮することで、仙腸関節を動かし、仙骨を浮き上がらせる練習をしていたそうです。それが合気道でいう「中心力」だそうです。
 インドのオリッシー・ダンスにある独特の足の運びもその鍛錬法かもしれません。インド舞踊って、意外と武術的なんです。
 先日、当代随一のインド舞踊家マーラヴィカー・サルカイのステージを見てきましたが、あのフット・ステップ、瞬間的に跳躍し、踏む力というのもその辺から出てきてると思います。手足の動く軌跡に無駄がなく、ゆっくり見えて実は速い。スローハンドですね。これは、昔のエリック・クラプトンのあだ名ですが。
 彼女なんかも、身体能力的にオリンピックの金メダリスト以上のもので、身体の隅々まで神経がゆき届き、神々しいオーラに包まれています。
 今さら私がこんなこというのも変ですが、「あー、インド舞踊ってこういう風に踊るんだー!」って思いました。
 バラタナーティヤム70年の歴史の中で、丁度、四十前の彼女は、第三世代くらいでしょうか。バラタナーティヤムの創設者たちがイメージした、世俗的な踊りではない、非日常的な、理想の神々の踊りというのは、彼女らの世代になってはじめて具現したのかもしれません。
 日本のインド舞踊家も繊細で上手な人が多いですが、腰とか背中の強さがない。立ち方の中心線が弱いです。仙骨関節の違いでしょうか。
 また、『スーパーボディを読む』(マガジンハウス)の著書がある伊藤昇師は「股関節の捉え」という表現をします。
 股関節と脚の骨が正しい角度(人によって異なります)にあると、全身が解放されて上体も自由に動きます。左右の切り替えもきちんとできるようになります。
 今の日本人はこれが非常に弱いです。インドの踊り子は股関節で地面をしっかり捉えています。日本のカバディがインド系の国々にどうしても勝てないのはその辺にあります。サッカーが弱いのもそれではないですか。

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掲載日 : 2000.05.22
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