延命寺 本太風土記
<成道会>
Vol.12
12月(臘月)5日に延命寺において成道会を厳修いたしました。
成道会とはお釈迦様の成道、すなわち、お悟りを開かれたことをお祝いする法会です。
禅宗では臘八摂心といって12月1日から8日まで日夜、座禅修行をする習わしになっています。 釈尊が臘八の暁に大悟したという言い伝えによります。
延命寺では座禅はやらずに、インド舞踊をやりました。当寺で声明教室を開いている桜井真樹子さんと生徒さんが「散華」という声明曲をお唱えして、タゴール・ダンスの吉田智恵子さんが舞いました。
これは吉田さんの創作なんですが、まるで昔から伝わっているかのように声明と調和した素晴らしい舞いでした。
今は法事というと経文を唱えますが、昔のインドでは、鉦鼓とともに歌を歌って神仏を讃えたものと思われます。
今日も南インドでは、朝晩、太鼓やシャーナイというチャルメラのような楽器で「お勤め」をいたします。百年前まではこれに寺院付きの巫女デーヴァダーシーの舞いが加わっていたはずです。
さらに、千年以上前にはヒンドゥー寺院のみならず、仏教寺院でも同じ供養を行っていたものと思われます。その模様が寺院の彫刻や金剛界のマンダラ図絵に反映されています。
今の日本のやり方ではなくて、香華や灯明、音楽、舞踊を奉納するという古い形でお祝いしました。慶事だけではなくて、お釈迦様の涅槃の時も、マッラ族が歌や舞踊で供養したわけですから。
声明と舞いの後には、般若心経を皆様とお唱えし、法楽として、とみさんにサラスワティー(弁天様)讃歌とダンマパダから一節を、自らの作曲できれいに歌っていただきました。さらにバジャンという、インドの御詠歌というのか、クリシュナ神を讃える歌を歌っていただきました。
とみさんはインド音楽の声楽家として活動されていますが、同い年の友人永井保君の奥様でした。でしたというのは、昨秋亡くなられたからです。
5日は二部構成で、成道会の打ち上げをかねて、永井君を偲ぶ会を行いました。
今、彼が書いたインド音楽の文章など読むと、表面上、可笑しくて笑ってしまうのですが、実は、非常に深い理解をしています。彼自身も大学の教員になるわけでもなく、ひょうひょうとした自由人、フリー・ライターでしたが、相当の実力者でした。ゴースト・ライターとして、二、三ベストセラーを書いています。
おい、本当にゴーストになったら、シャレにならないぜ。
身体を壊されて、ここ数年は苦しかったと思いますが、今は安楽国に生まれ変わり、インド音楽を修行して、声明成仏ならぬ、シタール成仏でも志しているのではないでしょうか。
成道会はお釈迦様の成道をお祝いするとともに、我々もまた成道を志すという決意を新たにする日ですね。
願以此功徳 普及於一切 我等與衆生 皆共成仏道
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掲載日 : 2001.12.10
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